看護師襲撃事件、局部手術失敗を工藤会トップ「逆恨み」と検察

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特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)が起こしたとされる一連の事件のうち、元警部銃撃、歯科医襲撃、女性看護師襲撃の3事件で組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人未遂)などの罪に問われた元組幹部中田好信被告(41)は20日、福岡地裁(丸田顕裁判長)の初公判で、工藤会上層部との共謀を否定した。

看護師襲撃の審理は初めて。検察側の冒頭陳述によると、工藤会トップの野村悟被告(70)は2012年8月、美容整形クリニックで下腹部の整形手術を受け、看護師が処置などを担当した。だが術後の状態が悪く、検察側は「野村被告が手術の失敗を逆恨みした組織的な報復事件」と主張した。

起訴状などによると、中田被告は野村被告の指揮命令に基づき、2013年1月、福岡市の路上で看護師の首や胸を数回刺したとしている。実行犯の送迎役として関与したとされる。

検察側は、看護師が勤めるクリニックで手術を受けた工藤会トップで総裁の野村悟被告(70)が、術後の状態に不満を持った恨みが動機だったと主張。公判で立証をめざすとした。

女性看護師は13年1月28日夜、福岡市博多区の路上で頭や胸を刃物で刺され3週間のけがを負った。

検察側の冒頭陳述によると、野村被告は12年8月、北九州市内の美容整形クリニックで局部の増大手術と周辺の脱毛治療を受けた。だが術後の状態が悪く、「腐っているのではないか」「(被害者の)看護師が意地悪でわざとやった」などとクリニックに申し立てたという。

野村被告は、工藤会総裁である自分に対し看護師があるまじき態度を取ったと考え、襲撃を決意したと検察側は主張。指示は配下の最高幹部らを通じて組幹部らに伝わり、12年11月ごろから幹部らがクリニック付近を徘徊(はいかい)し、看護師の自宅を特定。事件に使う車やバイク、携帯電話が用意され、2度延期した後に実行された。野村被告は事件の2日後にクリニックを受診した際、欠勤していた看護師について、名前も報道されていないのに「刺されたんかね」「あの人なら、やられても仕方ない」などと話したという。

検察幹部の説明では、野村被告は手術後に10回以上クリニックに通い、その間複数の医師が交代で対応したが、担当看護師は被害者だけだった。

検察側は公判で「手術の結果を逆恨みした組織的な報復事件」と指摘。中田被告は車の準備や実行役の送迎をしたとした。

中田被告は、冒頭の罪状認否で送迎役だったことは認めたが、殺意は否認し傷害罪にとどまると主張。数人の幹部らと共謀したことも認めたが、野村被告の指揮命令があったかについては争うとし、工藤会が組織的に関与したとする検察側の見方を否定した。

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